■ マスコバド糖とその仲間たち

「マスコバド」とは、フィリピンでの昔ながらの黒砂糖製造方法の名称です。
砂糖の島と呼ばれるネグロス島でも、アメリカの資本が入って精製白砂糖を本格的に生産する前は、マスコバド製法で砂糖を作っていました。砂糖農園内に砂糖汁を煮詰める釜と煙突だけの小さな工場がしつらえられていました。ところが本格的なアメリカへの砂糖輸出が始まると大規模な製糖工場が建てられ、マスコバド製法は消えてしまいました。貧困に苦しむ砂糖労働者や零細農民の自立への支援として始まった民衆交易は、民衆を苦しめた白砂糖ではない砂糖を交易しようと企画されました。それがマスコバド糖なのです。

マスコバド糖500g 300円

そのおいしさの秘密は手間隙かけて作り方にあります。まず 、収穫された砂糖きびの枯葉やゴミを手作業で取り除きます。
機械化された精糖工場では、不純物もまとめて搾って後で精製しています。
ここで味にグンと差がつくのです。砂糖きびから無駄なく搾り取られたジュースを大きな釜でグツグツとたっぷり時間をかけて煮詰めます。

その間に浮いた不純物と沈殿物を丁寧に取り除き、その純粋さを高めます。水分がとんでドロドロな状態になった頃、乾燥台に移します。シャベルを使って粉末状態になるまでサッサッサッとかき混ぜながら自然乾燥させます。
これが豊かな風味を逃がさないコツなのです。マスコバド糖は、糖蜜分離も精製もしていませんので、砂糖きびに含まれている豊かなミネラルがそのまま含まれています。現代人に不足しがちなカルシウム分もたっぷりです。
マスコバド糖は、伝統的なネグロスの砂糖作りを人々の手に取り戻すと同時に、食べる人にも自然で豊かな砂糖きび本来の味を提供します。